
申し訳ありませんが、当院では1本単位の歯の治療は行っておりません。
何故日本ではごく当たり前に行われている1本単位の歯の治療を行っていないのか,是非、私の話を聞いてください。
「時間がないから痛いところだけ見てくれればよい」というご要望をよく耳にします。勿論、緊急処置はさせていただきます。しかし、緊急処置後、その歯だけを治療して終わりにして、「また悪くなったらいらしてください。」とか「この歯もついでに治療しておきましょう」というようなスタイルの治療は当院では行っていません。 何故ならば、お口にある歯は28本全部そろって初めて正統な機能をするようになっているからです。 つまり、
「歯は何のためにあるか」ということを考えてみると、1本単位の治療ではなく、口全体を一つの器官と認識した一口腔単位の治療とその予防(良い歯は悪くさせないように)がどうしても必要なのです。
私は歯科医療の本質は皆さんが、食べ物をきちんと食べること(咀嚼)ができるようにすることにあると思っています。
そもそも歯は食べるための"調理道具"なのです。調理道具であるならば“切れ味”が良くなければなりません。また、食べ物をよく噛んで唾液を十分に出さないと、胃や腸に出る消化酵素も十分に働いてくれません。良く噛む為には顎を動かす筋肉や顎の関節も健康でなければなrません。(歯)には「歯ざわり」を感じる精巧なセンサー(歯根膜)が歯肉の中に入っていて脳と直結して情報を送っています。 でも歯周病になってしまうとその歯肉の中の歯根膜が歯槽骨とともに無くなっていきます。 もしもお口の機能が部分的に壊れて具合が悪くなってしまったら、その結果、私たちは 精(せい)咀嚼(そしゃく)(ゆっくり味わって楽しみながら食事をすること)
ができにくくなってしまいます。歯を失ってしまうことは動物であれば即"死"を意味します。
あなたは"快食派(歯)"ですか?それとも"義務食派(歯)・満腹派(歯)"ですか?
歯が少なくなれば、人間は他の道具を用いて、本来口の中でしなければならないことを、口の外で済ませるようになり、口は食物を食道に流し込むだけの道具と化してしまうでしょう。 食欲は数ある欲望の中で一番最後まで残っている欲望です!
食欲を失ってしまって本当に毎日の生活をエンジョイしていくことができるでしょうか?
よく噛んでいると唾液がたくさん出てきます。この唾液と食べ物をよく混ぜることによって初めてその食材の持つうま味を舌や口蓋で感じることができるようになるのです。(注)唾液の働きはこれだけではなく、他にも大変重要な働きをしますので後述致します。
硬ければ硬いほど美味しいと、よく言われますが、色々な種類の食べ物を十分に噛み混ぜることによって色々な「味」や「匂い」、そして歯を支えている歯根膜に内臓されているセンサーによって「歯触り」が脳に伝えられ、脳は以前の記憶と照らし合わせて「美味い」とか「好きだ」と感じ、幸せな気分に浸ったり、明日へのエネルギーにも繋がっていくのです。
歯科医療の目指すゴールはむし歯や歯周病の予防や治療ではなく、食べ物を美味しく、快適に噛むことができるようにするために、
歯及びそのグループの咬合(噛み合わせ)を整備し維持管理することにあります。
勿論その一環として、むし歯や歯周病の予防や治療があるのですが、それらが決して最終目標ではなく、咬合の維持・管理が歯科医療の最終目標であると私は信じて日常の診療を行っております。
良い咬合のためには歯数が全てそろっている事が基本条件です。 私達の歯は前歯が上下左右で12歯、臼歯が16歯、合計28歯(親知らずは除外します)あり、それぞれが役割分担をしていますので、1歯でも欠けると機能が低下してしまうのです。例えて言うならば、オーケストラとは言うものの金管楽器のメンバーがいないために十分な演奏ができない状況になっているオーケストラのようなものです。歯はメンバー全全員が一堂に会して初めて素晴らしい機能を営むので、歯科は1歯単位という捉えかたではなく、全ての歯や歯周組織を一つの器官とみなす一口腔単位のとらえ方をしていく必要があります。その方の咬合状態の善し悪しを判定するにはお口全体(歯、歯周組織、咀嚼筋、顎関節、唾液腺)を診ていかなければなりません。そこが冒頭にお断りした、「一歯単位の治療は行っていません」ということの主たる理由なのです。
そして快適な咬合状態を維持管理していく為には、エビデンスに基づいた診療システムが必要であり、それがなければ医療は出口のない迷路をさまようこととなります。
ご自分の歯で一生涯過ごしていきたいと思われている方、快適な毎日を過ごしていきたいと思われている方、そしてよく噛めずに悩んでおられる方、是非このホームページで健口審美咬合システムの全貌をご理解していただき、大切な歯及びそのグループを守っていく為の選択肢として採用していただければと心から願っております。



